いにしえの傍聴記録:首都圏連続不審死事件08 木嶋佳苗 詐欺被害者尋問 意識朦朧の中、首都高をフラフラと…… | 高橋ユキの事件簿 #90
今日はいにしえの傍聴記録です。
2012年にさいたま地裁で傍聴した、木嶋佳苗の一審公判。同年刊行『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)ほかの執筆のためにまとめた公判データになります。
いにしえの傍聴記録
2012年傍聴 さいたま地裁 首都圏連続不審死事件公判 08
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過去の記事
【2012年1月25日 第10回公判 詐欺被害者・Mさんの証人尋問】
被告人名:木嶋佳苗
罪名:詐欺、詐欺未遂、窃盗、殺人
交際していた男性を練炭自殺に見せかけて次々に殺害したという3件の殺人罪、婚活サイトで出会った男性から金銭をだまし取った、またはその未遂として6件の詐欺・詐欺未遂罪、詐欺被害者の男性の財布から5万円を抜き取ったという1件の窃盗罪で起訴されている。
被告人は全ての殺人について否認しており犯人ではないと主張していた。
この11回からは詐欺の被害者らが証人として出廷。一緒にホテルに入ってから睡眠薬を飲まされ意識を失う様子などが語られる。
【Mさん 証人尋問】
遮蔽あり。妙に笑いながらしゃべる気の弱そうな声の男性。こういう雰囲気の人が詐欺関係の被害者には多い印象。会社員53歳。未婚。マッチドットコムに入会して相手を探していた。当時は長野在住。詐欺の被害者。
起訴状・詐欺+窃盗部分のふりかえり
被告人はM、Kに対し、金銭を奪い取ろうと
1. 平成20年8月24日〜平成20年12月10日までの間、都内の被告人方においてPCからMさんに対し、メールを送信し閲覧させ、別表の通り、9月2日から12月11日まで6回にわたり、みずほ銀行東武練馬支店において合計130万入金させ
2. 平成20年8月24日〜平成20年12月23日まで多数回、被告人方のPCでKさんに対し、結婚している事実はなく、大学に在籍もしておらず授業料納入の事実もなく、実際はクレジットカードの返済や生活費であるのに、別表の通り「真剣に結婚を考えており、支援してほしい」などのメールを静岡に住むKさんに送信、閲覧させ、同年10月8日から12月25日にかけ、4回、189万9000円を振り込みさせた。(別表は省略)
上記二件については認めている。
窃盗罪 平成21年1月10日23時〜12月10日までの間において、豊島区のホテル室内において、睡眠状態のKさんの財布内から5万円を抜き取った
こちらについては否認している。
検察官から
〈被告人には平成20年9月、11月、12月の3回、カネをだまし取られた。9月は学費が必要とのウソで。11月も同様のウソをつき満期退学について匂わせた。12月も学校関係のことでウソをつかれた〉
〈被告人から平成20年8月にメールが送られてきたことが発端。内容はいつもの定型文『女子栄養大学に通っていて真剣なパートナーを捜している』等々〉
証人「プロフィールを拝見し、心に留まるものがあったので……(定型文となっている被告人からのメールを読んで)真剣に相手を探しているんだなと感じました」
検察官「どういう人だと思いましたか?」
証人「この文章だけだと、ちょっと……フフッ(←なぜか笑う。以降もよく笑います)真面目な人だと思いました」
検察官「栄養学を勉強していて、介護の仕事をしながら学校に通っていると思ってたんですよね?」
証人「はい」
〈これに証人が返信をし、以降、やり取りが始まった。被告人からは例によってメールで、教育ローンの話や学費を納めないと除籍になるなどの話がでた〉
検察官「『10日までに入金できないと除籍です……』これを読んでどう思いましたか?」
証人「被告人は、学生だけど真面目に勉強をしていると……勉強のお金が来月10日までなのかなーと」
〈引き続き被告人のメール。『ですから将来を考えている方に支援を望むことです……』〉
検察官「これを読んであなたは、被告人があなたのことをどういう存在と考えていると?」
証人「下から2行目……『真剣に1人のパートナーとして……』……と思っていると。結婚相手と」
検察官「求めに応じようと思ったんですか?」
証人「これだけじゃないですが、付き合いしてみようかと」
〈2人のやり取り。証人から『ある程度の支援はできると思う。9月10日までの授業料はいくらぐらいですか』。被告人『学費のことは次回のメールでお伝えします。ただ私の中でも援助を受ける覚悟は必要です……私に取っては理想の男性ですが、あなたにとって私はどうなのか気になります。交際できそうだったらサイトを退会します』などなど〉
検察官「どう答えましたか?」
証人「実際に会ってみたいという内容を。(交際については)してみたいという内容を……」
検察官「当時あなたは長野に住んでいましたね。遠距離となることに支障はなかった?」
証人「特にないです。以前、もっと遠距離の人と交際していたので」
〈証人はOKですという旨のメールを送り、被告人から学費の詳細メール。合計は大体70〜80万円〉
証人「ちょっと高いなと思いましたけど、払えない額ではないなーと。払う前に実際にお会いしてどういう人物か確かめてみたい…会う事になったと思います」
〈そして8月31日、池袋のデパートでデートをする〉