いにしえの傍聴記録:首都圏連続不審死事件05 木嶋佳苗 元カレ証人尋問 | 高橋ユキの事件簿 #81
こんにちは〜。久しぶりに今日は、いにしえの傍聴記録を配信させていただきます。
2012年にさいたま地裁で傍聴した、木嶋佳苗の一審公判。同年刊行『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)ほかの執筆のためにまとめた公判データになります。
木嶋佳苗の家族の調書のところを書きますと前回告知していましたが、かなり短いので、別の機会にチラッと書かせていただきます。
いにしえの傍聴記録
2012年傍聴 さいたま地裁 首都圏連続不審死事件公判 05
※無断転載は厳禁です 参考にされたい方は個別に連絡ください
※無断転載防止の観点から一部情報を伏せたり割愛している箇所があります
過去の記事 順番に
【2012年1月16日 第4回公判am SYの証人尋問】
被告人名:木嶋佳苗
罪名:詐欺、詐欺未遂、窃盗、殺人
交際していた男性を練炭自殺に見せかけて次々に殺害したという3件の殺人罪、婚活サイトで出会った男性から金銭をだまし取った、またはその未遂として6件の詐欺・詐欺未遂罪、詐欺被害者の男性の財布から5万円を抜き取ったという1件の窃盗罪で起訴されている。
被告人は全ての殺人について否認しており犯人ではないと主張していた。
この4回目の公判では、交際していた男性・SYが証人として出廷。交際していたときの様子や、SYから見た木嶋佳苗の様子が語られた。
【SYさん 証人尋問】
遮蔽措置がとられ、傍聴席からは外見が全く分からず。声が小さい。
証人は10年以上前に被告人と知り合い、2009年9月25日の逮捕まで交際を続けていたという。
検察官から
ー交際のスタートは?
「終わりの5~6年(平成15~16年頃)だったと……」
ー通常の大人の男女が付き合うような形で?
「はい」
ー被告人は、自分の事をなんと?
「吉川桜と言っていました」
(最初からこう名乗っており、逮捕までそう呼んでいた。逮捕後に捜査員から本名を聞いて驚いたらしい)
ー証人は交際当初から今までいわゆる普通のサラリーマンですね。大体どのくらいの頻度で会っていましたか?
「週末、日曜、週1回……都合悪ければ2週間に1回」
(月から土曜までの勤務。平日はあまり会わないが被告人の家で一緒に食事をする事はあったようだ)
ー泊まる事はありましたか?
「土曜の夜に行ったときは泊まる場合もあります」
(裏磐梯の旅行について。年6~7回ぐらい行っていた。釣りとスキーのため。これは証人の趣味。いつも2人で行っており、他人を誘う事はなかった。宿泊も伴う)
ー立ち入った事を聞いて申し訳ないんですが、いわゆる肉体関係を持った事は?
「ありました」
ー避妊は?
「ピルを服用していました。被告人が」
(証人は逮捕まで特に避妊をした事がないという。毎回中出し…??? しかしピルを飲んでいながら、なんと……)
ー被告人が妊娠した事はありましたか?
「はい」
ー何年頃?
「………」
ー交際期間中?
「はい」
ー結局それは?
「事実ではありませんでした」
ーその時の被告人は?
「流産したという話で、まぁ、沈んだ感じでした」
ー証人としてはどう思いました?
「残念だと思いました」
(証人は交際を続ける中で被告人といずれは結婚できたらいいなと思っていた。交際初期は特に強く思っていたという。ちょいちょいその手の話はカジュアルにしていたらしいが、被告人からは「そうだね」みたいな感じで、具体化する事はなかった)
ーそれはなぜ?
「母の反対で……」
ー被告人のお母さんが?
「はい」
ーどのような理由から?
「正直……(聞き取れず)」
(被告人はSYとの結婚ができない理由を「母親が反対しているから」と告げていたらしい。真偽不明。また交際期間中、被告人から学生であるという話や金銭の要求をされたことはない。コルドンブルーに行っていることは知っていたが費用を立て替えてくれという話もなかったと述べた)
(引き続き、安藤さん宅の絵を買ってくれと持ちかけられた事もないなどの確認)
ー食事や旅行の費用は?
「大体ワリカン、半々です。厳密な半々じゃないですが、昼食を出したら夕食は出すみたいな……」
(証人が金を借りた事もないと述べる。また交際中、被告人はヤマハで講師をしていると話しており、それを信じていたという)
ー逮捕の数年前、XXXXというマンションに住んでいましたね。あと、買い物したりもしていましたが、自分の給料だけで生活を賄えるとおもってましたか?
「思っていません。親からの援助を受けていると思っていました。父は弁護士で、母は事業をやっていると言っていたので」
ーお父さんは生きてると思ってたんですか?
「はい」
ー父親はどこに住んでいると?
「当時は湯河原……」
ー母親は?
「やっぱり……(聞き取れず)」
(被告人の兄弟構成は知っており、妹の子どもと遊んだ事もあるなどなど。証人の家族に被告人を紹介した事もある)
(寺田さん事件直前の2人のメールのやり取りを示され逐一確認。寺田さんと会っていたことを「パパと会っていた」と嘘をついている)
(引き続き大出さん事件の頃のメールも示す。被告人は「被告人の友人」を装ったアカウントを作り、その架空のアカウントから自分あてにメールを送り、「友達からこんなメールが来た」と証人に見せたりしていたのだという話もあった。
話は平成21年7月24日、大出さんから470万円を奪い取ったとされる直後25日、札束の写メが証人のもとへ送られてきたときのことへ。これは海外から戻った父が小遣いとしてくれたという趣旨のメールも送っている)
ー『これから、きょうだいに配って来るの、タクシーで帰ってきちゃった。パパの経済感覚、暑さで崩壊してるのかしらね』このお金、小遣いとしては多いとは?
「思いました」
ーこれまでの被告人の言動からあり得る話だと思いました?
「ですけど、それにしても多いなと……」
ー具体的に聞いた事はありますか?
「後日、すごいねと話した事はあります。(被告人の反応は)覚えていません」
(話は8月13日のやり取りに移る。このときも被告人は「友人を装い」、友人になりすまして証人のもとへメールを送っている。その内容は「被告人の部屋がもぬけの殻だ」というもの。この直前、証人と被告人は結婚話になったというのだが、証人が被告人に「結婚するする詐欺。もし結婚してくれないなら慰謝料もらう」と冗談半分で言ったことがあるようだ。その事に腹を立てたことを「友人を装った」アカウントから知らせるために、被告人が家を出て行った……という内容のメールを「友人」のアカウントから送ったらしい。この、ややまどろっこしい手法により、結局丸くおさまり、友人を装った被告人は「いつものように何だか分からないうちに仲直りしている。まったく人騒がせなカップルですね」というメールをSYに送っている……のだという)
ー平成21年1月頃(寺田さん事件直前)、被告人から他の男と付き合っているという話は?
「ないです」
ー疑った事は?
「ないです」
ー今から振り返っても全くそういう素振りはなかったんですか?
「なかったです」
(検察側からの尋問終わり。10時58分~11時10分 休廷。引き続き弁護人から)