いにしえの傍聴記録:首都圏連続不審死事件07 木嶋佳苗 詐欺から逃れた男性たちの尋問 | 高橋ユキの事件簿 #87

いにしえの傍聴記録(木嶋佳苗 さいたま地裁 07)
高橋ユキ 2022.01.30
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 こんにちは!今日はいにしえの傍聴記録。少し長めです。

 2012年にさいたま地裁で傍聴した、木嶋佳苗の一審公判。同年刊行『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)ほかの執筆のためにまとめた公判データになります。

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いにしえの傍聴記録

2012年傍聴 さいたま地裁 首都圏連続不審死事件公判 07

※無断転載は厳禁です 参考にされたい方は個別に連絡ください
※無断転載防止の観点から一部情報を伏せたり割愛している箇所があります

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過去の記事 順番に

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【2012年1月20日 第7回公判 詐欺未遂被害者・SSさん&KZさんの証人尋問】

被告人名:木嶋佳苗

罪名:詐欺、詐欺未遂、窃盗、殺人

 交際していた男性を練炭自殺に見せかけて次々に殺害したという3件の殺人罪、婚活サイトで出会った男性から金銭をだまし取った、またはその未遂として6件の詐欺・詐欺未遂罪、詐欺被害者の男性の財布から5万円を抜き取ったという1件の窃盗罪で起訴されている。

 被告人は全ての殺人について否認しており犯人ではないと主張していた。

 この日も、詐欺未遂の被害者2人が証人として出廷。被告人のメールテクが暴かれる。SSさんは会ったその日にホテルに行き、被告人から言われるままに、避妊なしのセックスをしている。反対にKZさんは会った日に彼女を詐欺だと見破った。

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【SSさん 証人尋問】

 傍聴席との間に遮蔽措置がほどこされ、風貌は全く分からないが、声は非常に小さくのんびりした感じ。非常に聞き取りづらい!

起訴状・詐欺未遂部分のふりかえり

 被告人はSS、KZに対しマッチドットコムジャパンにおいて、

1. KZさんと結婚の意志はないのに、平成21年8月19日、被告人方でPCを使用し、別表1の通り、メールを送信し、長野の同人方でメールを閲覧させ、31日、東池袋、東部デパートのジュエルで「3ヶ月で70万円かかる」「学費を出してくれないか」と虚偽を伝えたが、見破られ、その意志を遂げなかった。

2. SSさんと結婚する意志がないのに、またもっぱらクレジットカードの支払いに充てるためでありながら、平成21年8月31日頃〜9月2日まで、被告人方、またはその周辺でパソコンや携帯電話を使用し別表1.2.の通りのメールを送信し、埼玉県の同人方でメールを閲覧させ「コルドンブルーではパンの上級クラスに……70万入金してほしい、なんとか……半分くらい……」というメールを送り、3日頃、携帯電話でSSに別表2.3のメールを送信し、真剣に結婚を考えているなどと伝え、金銭をだまし取ろうとしたが、両親の反対により、目的を遂げなかった。

・別表1 KZさんに送信したメール

「独身最後の学校としてコルドンブルーを選びました……パートナーが突然他界して、高額な学費を支払わなければなりません。1学期分は分納し、教育ローンを申し込みました。介護の仕事をしていましたが、さらに不幸は続き、介護していたおじいさまが亡くなり、収入が途絶えました。今は週に10人程度の介護の仕事をしていますが、アルバイトです。介護の仕事は増やせても、学費を稼ぐまでは不可能です。

 私は遊び相手や恋人探しというより、旦那様を捜しています。長く交際しなくても……わりと早い時期に、確固たる愛や絆を築けていました。将来のパートナーになってくれる人を探しています。

 もうひとつ、伝えておきたい事があります。肉体関係のことです。私はお付き合いして時間が経たないとそうなってはいけない、という思いはありません。早い時期にそうなる事は自然なことだと思っています」

・別表2 SSさんに送信したメール

1. 「どちらも年上でした。独身最後の学校としてコルドンブルーを選びました……今は介護の仕事をしていますが、さらに不幸が続き……収入が途絶えました……学費を払うまでのお金を稼ぐ事は不可能……私の場合、遊び相手や恋人探しというより、旦那様を探しています……どういうデートをするかより、どういう生活をするかを、どうしても考えてしまいます。本当に相性の良い人とは……」

2. 「私が真剣に結婚を考えている事、子供が欲しい事はきのう分かってくれたと思います。学校を卒業したい思いも強いです。進級手続きをしないといけませんが、まだ返答をしていません。ミノルさんには応援してくれるのか……これから会うとき、結婚に向けて、もし協力できないというならそれが愛情なんでしょうし……ただ、妊娠していたらどうしようというのはずっとあります」

検察官から

(被告人とはマッチドットコムで平成21年8月に知り合った。証人はこのサイトに3年くらい前の夏に登録したという)

検察官「メールを示します。何度か『こんにちは』というメールを送っているようですが、どうしてですか?」

証人「最初に送ったメールの返事がなかったんで、もういちど、送ってみようと……自分に興味あるのかないのか、ちょっとギモンっていうか……」

検察官「返信は8月30日に来ましたね。家族関係のことが書かれている。『現在学生です』『ホームページのURLをお伝えしますね』『お会いした事のない人に送るのが初めてで……』『遊び相手ではなく結婚相手を……』……このメールをよんでアナタはどう思いましたか?」

証人「自分に関心持ってくれたのかなと……」

(証人と被告人は『自分のパートナーになってもらいたい女性だと……』『結婚を前提に真剣なおつきあいというスタンスでなくては……』などのメールをやり取り)

検察官「このメールを読んで?」

証人「ますます自分に興味を持ってくれたんだなと。おつきあいできたらなと……」

検察官「もう少し大きな声で答えて下さいね」

証人「はい」

(声は一向に大きくならなかった……)

(証人は『自分は真剣に佳苗さんと結婚前提のおつきあいを希望です』とメール。対する被告人は『今まで男性とお付き合いした経験は2名で……独身最後の学校としてコルドンブルーに……卒業したら結婚と考えていました……パートナーが他界して……教育ローンに申し込みました。介護の仕事をしていますが、さらに不幸な事に、介護でお世話をしていたおじいさんが亡くなり、収入が途絶え……』と、いつもの定型文を送っている)

検察官「こういうメール、本当だと思っていたんですか?」

証人「………はい」

(引き続きメールが読み上げられる。被告人の定型文『今度の人はその金銭的な負担が出来る人で……進級の手続きさえできれば……10月からの進級、今週末までに申請しなければならず、将来のパートナーになってくれる人に……。もうひとつお伝えしておきたいのは男女のおつきあいのことですから、お互いに思いがあるなら、早い時期にそうなるのは自然なこと……』云々といったもの)

検察官「これを読んでどう思いましたか?」

証人「……でも、結婚してから、学校を卒業してもいいのかなと思いました」

検察官「あなたとしては、被告人との関係をどうしたいと?」

証人「まずはおつきあいしていきたいという考えがありました」

(この間、8月30日〜31日のやり取り。証人から『今の悩み、すごく伝わりました。ぜひ一度お会いして……お互い確信を持てたら結婚しましょう』。被告人から『このような出会いは初めてでして、手探りですが、何事も率直に伝えた方がいいのではと思っております』。このやり取りの後、2人は実際に会った)

検察官「初めての印象は?」

証人「まぁ…………自分の好みの女性の感じっていうか、ハイ」

検察官「あなたにとっては被告人が好みのタイプという感じなんでしょうかね?」

証人「ハイ」

検察官「店を出て、その後は?」

証人「池袋の、ホテル街の方に向かっていった記憶があります」

検察官「どうしてですか?」

証人「方向感覚がなく、ぶらぶら行ってるうちに……」

検察官「その後は?」

証人「…………ホテル………入りました」

検察官「どうしてホテルに入る事になったんですか?」

証人「当時、2人の雰囲気というか……そういう感じだったんで……」

検察官「肉体関係、コンドームは使ったんですか?」

証人「いいえ」

検察官「どうして?」

証人「自分は……えっと、確認をしたんですけども、つけなくていいという返事が」

検察官「射精はしました?」

証人「はい」

検察官「どこに?」

証人「中……」

検察官「膣の中ですか?」

証人「はい」

検察官「ためらいとか、そういう気持ちはなかったんですか?」

証人「最初はあったんで、ゴムのこと聞いて、で、いいという返事がきたので、で……という形でした」

検察官「射精しそうになって、断りもなく膣の中に射精したんですか?」

証人「最後はそうですね」

検察官「中に出しても構わないと被告人から……」

(遮られ、弁護人から異議が出る)

検察官「本当に断りなく?今の記憶ではどうですか」

証人「まあ……よく考えれば、そういえば、ホテルが見えるという話をした覚えはあります」

検察官「(見当違いの答えが返ってきた事にいらついた様子で)今聞いてるのは、どこに射精するかという被告人とのやり取りについてなんですが、そんなやり取りをした覚えは?」

証人「なかったです」

(2人はホテルを出た後別れ、証人は電車で帰宅した。この日の夜、被告人からメールが来る。『……避妊しなくても構わないと思ってます……もしかしたら妊娠する可能性もありますからね……今月にはクラスが終了します……学費を納付しないといけない……応援してくれるのか伺いたい』というような、中出しした事を話題に出しつつ援助の話。コレを読んで証人は学費の事を真剣に考えないといけないと思ったという)

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