いにしえの傍聴記録:首都圏連続不審死事件35 良くしていただいたのに結果的に結婚できなくて…… | 高橋ユキの事件簿 #174
こんにちは。もうすぐこの木嶋佳苗が終わります。次に配信する昔の裁判記事は何がいいだろうと、延々考え中です。
いまのように、詳細なデータっぽいものを配信するのもいいですが、なんとなく最近、日時も名前も伏せたような傍聴記を書いてみたいという気持ちも少しあります。次にまたこうした大きな事件の傍聴記録を出すまでの期間に、そんなものも出させてください。
いにしえの傍聴記録
2012年傍聴 さいたま地裁 首都圏連続不審死事件公判 35
※無断転載は厳禁です 参考にされたい方は個別に連絡ください
※無断転載防止の観点から一部情報を伏せたり割愛している箇所があります
過去の記事
検察側最終日です。
【2012年3月3日 第32回公判 検察側からの被告人質問5日目】
被告人名:木嶋佳苗
罪名:詐欺、詐欺未遂、窃盗、殺人
交際していた男性を練炭自殺に見せかけて次々に殺害したという3件の殺人罪、婚活サイトで出会った男性から金銭をだまし取った、またはその未遂として6件の詐欺・詐欺未遂罪、詐欺被害者の男性の財布から5万円を抜き取ったという1件の窃盗罪で起訴されている。
被告人は全ての殺人について否認しており犯人ではないと主張していた。
Kさん+Mさん=詐欺の被害者
SSさん+KZさん=詐欺未遂の被害者
SYさん=彼氏
この日は検察側の質問最後の日。大出さん事件の疑惑について追及がとまらなかった。
○被告人の服装:白くてフリルのついた胸の開き気味カットソー
《大出さん事件前後に被告人が探していた物件の話に移る。被告人は源泉徴収票を偽造して収入があるように装い、賃貸借契約の際に用いた》
ーXXXにも申し込みして、7月23日にダメになりましたね?その理由は
「分からないです」
ー源泉徴収票を偽造したからではないですか?
「分かりません」
ーYYYにも偽造した源泉徴収票を提出していましたね?
「はい」
ーなぜそれなのに大丈夫だと思ったんですか?
「不動産会社の方がおっしゃっていたので」
《この当時、大出さんとの間では新居の話が出ていたという。だが、被告人は一緒に住むつもりがなかったと述べている》
ー7月28日、19時34分、大出さんから被告人あてのメール、2LDKで13万円の物件、送ってきていますね。そして7月31日、被告人から大出さんあてのメールで『ところで新居の事で良い知らせがあります。お時間よければご連絡ください』と送ってます。そして大出さんからは『8月3日の18時にお電話します。愛の巣がどこになるのか楽しみです』と返信がきています。新居のことで良い知らせ、とは何ですか?
「YYYが決まった事です」
ーあなたが言っていた話だと、ここはお菓子教室で、新居ではないのでは?
「厳密には違います」
ーそれなのに、なぜ良いニュースになるんですか?
「新しく探している住まいの事を私たちは新居と言っていました」
ーここで新居の事で良いニュースと言うと2人の部屋と大出さんは思うのではないですか?
「私たちは役割分担をしていて、私はお菓子教室、彼は新居を探していました」
ーどっちも新居と言っていると、どっちがどっちか分からないんじゃないですか?
「……(聞き取れず)」
ー2つの部屋を借りようと思っていたんですか?
「はい」
ーYYYは家賃が月27万円でしたよね。大出さんの月収はいくらだったんですか?
「聞いた事がありません」
ーなぜ?
「…………その時点でお聞きするのが失礼だと思ったからです」
ー家計のやりくりをしていかなければいけないのだから、問題になる訳でしょ?あなた、定期的な収入ありませんよね。なぜ聞かないんですか」
「7月15日に話していた内容に出ていたからです。大出さんは結婚したら家を買って、自宅をセカンドハウスにしてお菓子教室を開きたい、というと応援してくれていたので、資産がある方だと思っていました。千代田区に持ちビルがあるので、新たに家を買える資産があると解釈していました。賃貸物件も支払い能力があると」