いにしえの傍聴記録：首都圏連続不審死事件 25 「質素倹約とは言いながらリッツカールトンでお茶する、それが私だぁ」 | 高橋ユキの事件簿 #144

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過去の記事

検察側1日目です。

【2012年2月27日　第28回公判　検察側からの被告人質問1日目】

被告人名：木嶋佳苗

罪名：詐欺、詐欺未遂、窃盗、殺人

　交際していた男性を練炭自殺に見せかけて次々に殺害したという3件の殺人罪、婚活サイトで出会った男性から金銭をだまし取った、またはその未遂として6件の詐欺・詐欺未遂罪、詐欺被害者の男性の財布から5万円を抜き取ったという1件の窃盗罪で起訴されている。

　被告人は全ての殺人について否認しており犯人ではないと主張していた。

　弁護側からの補充質問を経て、いよいよ検察側からの被告人質問が始まった。これまでは澱みなく質問に答えていた被告人も、声が格段に小さくなり、検察官からの厳しい追及に感情を表に出す場面も見られた。

○被告人の服装：紺のジャケット、茶の丸首シャツ、灰色ズボン

1月11日～12日、東京ドームホテルへ宿泊したときの話。肉体関係は持てなかったとのこと。例によってブログを更新しており、それを示される。寺田さんには自慢のブログのURLを伝えていた。結婚する気はないと言いながら、寺田さんが見ると喜んでしまいそうなことばかり書いている

ー『今日はとっておきの人と特別な……』とあるが寺田さん？

「はい」

ー『今年一番幸せな日』と、なぜ？

「………寺田さんとデートした日だったからです」

ーただのデート？

「いままでよりかなり親密になったからです」

ー『今年は幸せな年になりそうな予感、期待大』これは？

「寺田さんとの結婚することを……」

ー『今月は準備期間として大切にすごしていきます』……来月から何かあるんですか？

「来月というより、今月から準備をと」

ーこの時の気持ちは？

「幸せな気持ちだったと」

ーですよねぇ、あなた結婚したくてマッチ・ドットコムに登録したんですよね、そしてついに相手がみつかり、婚約のブレスレットもらって4月から料理教室に通うわけですね、近いうちには同居して婚姻届と考えもあったんですよね。幸せいっぱいですよね。次のブログを。1月11日。『今日はちょっとした記念日』とありますが、これ寺田さんとホテルに行った日ですね。何の記念日？

「……平成21年になって初めて寺田さんと宿泊を伴うデートだったので」

ーその記念日？婚約した記念日ではないんですか？あなた年間何日記念日がある？（ニヤニヤしながら聞いている）

「たくさんあると思います（むっとしてる）」

（この頃、新生活の準備として家電のことは話していたという。1月18日寺田さんは洗濯機と冷蔵庫を購入。寺田さんのお姉さんは別期日での証人尋問では「被告人が週末に寺田さん宅に荷物を送ると話していた」と言っていたという）

ー1月23日ブログ。写真は、カルティエのリボンがついた箱。これは1月11日にもらった婚約ブレスレットですか？

「はい」

ー本文に『来月からスタートすることに向けて準備期間……』これは？

「この時には結婚に向けて準備と考えていたので。ブログのスタートは、結婚という認識ではなかったです」

ー来月からスタート、2月から同居するとなっていたのでは？

「そこまで具体的に同居すると決まっていないです。1月末から同居するという話が出たことは一度もない」

ー『大きな愛の詰まった贈り物』婚約ブレスレットだから寺田さんの愛がつまっていると？

「その認識はありました」

ーわざわざブログにアップしたのはなぜ？

「その時の私の気持ちだったからです。この時期は、準備進めていたので、楽しみでもあり迷いがありました」

ー失礼な言い方かもしれませんが、誰がどう見ても幸せを訴えてる内容。あなた自身、浮かれた気持ちがなければこんなこと書かないのでは？

「嬉しかったとは書いています」

ーもしうまくいかなかった場合、このブログの記事は、先走ったこっぱずかしい記事になるとは思いませんか？

「そういうのはありません」