いにしえの傍聴記録:首都圏連続不審死事件12 木嶋佳苗 世間一般の価値観から離れた特殊な女性 | 高橋ユキの事件簿 #101
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2012年にさいたま地裁で傍聴した、木嶋佳苗の一審公判。同年刊行『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)ほかの執筆のためにまとめた公判データになります。
いにしえの傍聴記録
2012年傍聴 さいたま地裁 首都圏連続不審死事件公判 12
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過去の記事
いまは被告人質問です。
【2012年2月17日 第23回公判 弁護側からの被告人質問】
被告人名:木嶋佳苗
罪名:詐欺、詐欺未遂、窃盗、殺人
交際していた男性を練炭自殺に見せかけて次々に殺害したという3件の殺人罪、婚活サイトで出会った男性から金銭をだまし取った、またはその未遂として6件の詐欺・詐欺未遂罪、詐欺被害者の男性の財布から5万円を抜き取ったという1件の窃盗罪で起訴されている。
被告人は全ての殺人について否認しており犯人ではないと主張していた。
【被告人質問 弁護人から】引き続き、福山さんとの交流について
(給料は20万、現金、手渡しでもらった。その次も週1〜2回ペースで通う。しかし2ヶ月して……)
「20万円では生活できないので、他の仕事も探してみようと思うので、もしかしたら週に1度も来れなくなるかもしれないわ、と伝えました」
ー福山さんは何と答えましたか?
「うーん……『20代の女性なら…20万で普通はやりくりできると思うんだけど……どのぐらい必要なの』って聞かれました。ん〜、正直に100万円必要だとは言いにくかったので、その時は確か50万位といったと思います」
ー福山さんに何か言われましたか?
「はい。そんなに使ってんの?何に必要なの?と聞かれました。ん〜、若いころからぜいたくに暮らしてきたのでそれに慣れてしまって、生活の質を落とすことはできないとお話ししました。最初はしぶしぶでしたけどぉ、でも、私のことを気に入ってくださっていたので、『足りない分は出すから仕事は続けてほしい』と言われました」
《そして2ヶ月目から、給与は20万、その他に30万もらうように。福山さんの懐事情は被告人は知っていた。副業の範囲で数千万円動かせる人間だという認識があったという。
働き始めて約1年後、平成14年の5月から、給与支払いが手渡しから振込に変わった。それまで給与と被告人の要求した額を払ってもらっており、要求を断られる事は一度もなかったのこと。要求額は働き始めから増えていた。収入は愛人生活より減った事は確かであり、支出を減らそうとはしたが、節約しても月100万を切ることは難しかったという。振込による送金が始まったのは、被告人の体調不良で週1度も通えないことが続き、給与を受け取れなかった時期があった際『生活に困るだろうから口座を教えなさい』と言われたという。
また、かなり早い段階で吉川桜名義の口座に振込されるようになっているが、これは大きなお金を渡すようになったので、バイトの木嶋佳苗に多額のお金を送金している事実が分かったらマズいということで、別の名義を教えてほしいと言われたとのこと。こうして平成13年14年と暮らしていた》
ーどうしてそこまであなたを援助してくれたと当時思っていましたか?
「うーん………始めの、面接の時、素朴で地味だと思って雇ったつもりが……実際、世間一般の価値観から離れた特殊な女性であるということが分かって、嬉しかったんじゃないかなと思います」
ー地味だと言われたのですか?
「最初見たとき素朴な女性だと思って選んだのに、こんな奔放だと思わなかった、と後から言われました」
ー働き始めて間もなく、息子さんの嫁にと言われましたね。その時点ではどこを気に入られていたのだろうと思いますか?
「たぶん、私の仕事ぶりを見て。私も家事が好きですから、甲斐甲斐しくお世話をして家庭的なところが目立ったときに、そういう面を見て、お嫁さんにしたいと思った、と福山さんに言われました。当時は20代の半ばでしたけど、私はお化粧もしたことがなかったですし、派手な格好もするわけではないので一見地味に見えたと……」