いにしえの傍聴記録 尼崎事件21 形見の磁気ネックレスを… | 高橋ユキの事件簿#250

尼崎事件21
高橋ユキ 2023.04.09
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こんにちは〜

もうすぐ終わりなのでもう少しお付き合いください。。。

新発田の取材をまとめる作業になかなか取り掛かれておらず。がんばります。

***

いにしえの傍聴記録

2013〜2015年傍聴 神戸地裁 尼崎事件21

※無断転載は厳禁です 参考にされたい方は個別に連絡ください
※無断転載防止の観点から一部情報を伏せたり割愛している箇所があります

角田瑠衣公判

複数の家族を取り込み、追い込み、最後は互いに暴力を振るうように仕向け、何人もを死なせたという尼崎事件。全ての首謀者として逮捕された角田美代子は警察署で自殺しましたが、彼女が周囲のいろんな人を徐々に自分の「ファミリー」に取り込んでいって、意のままに操り、ファミリーのなかで用無しと判断された人などを仲間に殺させたりして、その遺体をどこかに遺棄したりする……みたいなことが長年、繰り返されてきました。

瑠衣は、取り込まれたファミリーの一員です。うまく美代子と関係を築いており、傍聴した限り、ファミリーの中でかなり重要な位置にいたように感じました。

取り込まれて物置で虐待を受けて死んだ茉莉子さんの妹です。そして美代子の次男、優太郎の妻です。微妙な立ち位置にありながら美代子に狙われなかった人となりはどんなものだろうと、個人的に一番関心を持って傍聴しました。

ファミリーの面々はそれぞれ公判があり、その公判も、被害者ごとに区切られ、XXさん事件、XXさん事件…と続いていくのですが、またもや私が行った時は万座毛で飛び降りた久芳さん事件の日でした。すみません。久芳さん事件ばかり詳しくお届けすることになるのですが、被告人質問での瑠衣の語り口はとても印象的です。美代子が生きていたらこんなふうに喋るのではないかなというような、想像ができました。

直近のものも。

***

概要

被告人:角田瑠衣(30) 年齢は公判当時

ほぼ全ての事件に関わっています。

初公判の様子はこちらにあります。ほとんど否認です。

〈起訴状などによると、瑠衣被告は元被告らと共謀し、2005~11年、角田久芳さん=死亡時(51)=を沖縄県の崖から転落死させ、姉の仲島茉莉子さん=同(26)=を尼崎市のマンションベランダの物置に監禁し、虐待を加えて殺害。橋本次郎さん=同(53)=を虐待によって死亡させ、岡山県の海に投棄したとされている。

 罪状認否で、弁護側は3件の殺人罪について殺意を否定。元被告が主導的な立場で、共謀の有無を争うとした。続く事件全体の冒頭陳述では、執念深いとされる元被告の性格などを挙げ「(瑠衣被告らは)黒子のように従うだけだった」と訴えた。

 検察側は瑠衣被告について「元被告を良き理解者として心酔していた」と述べ、全事件での積極的な関与を主張した。〉

それでですね、この記事は2015年10月のものなんです。瑠衣の公判は一番最後に始まったのですが、むちゃくちゃ長くて、私が見れたのはそのうち12月の2期日のみです。

ほんと断片的な記録になってしまうのが申し訳ない限りです。

実はこの裁判を、神戸に住み込んでずっと傍聴している別のジャーナリストさんがいて、その方ともよくお話させてもらっていました。書籍になるのを楽しみに待っていたのですが、いまだその気配がないのが、本当に残念でならないです・・・・・

***

久芳さん事件

先の神戸新聞にあったように〈2005~11年、角田久芳さん=死亡時(51)=を沖縄県の崖から転落死〉した久芳さん事件について、冒頭陳述から聞けました。この瑠衣のリポートでは久芳さん事件の冒頭陳述、証拠調べ、そして被告人質問まで続きます。

ちなみに瑠衣は懲役23年が言い渡され、控訴せず確定しています。最高裁まで争った、角田家の暴力装置・李正則と対照的です。

法廷で見た被告人は年齢よりはるかに若く見え、目鼻立ちははっきり、気が強そうにも見えますが、真面目そうにも見える。年上に好かれそうな朴訥さがあります。美代子に気に入られたというのもなんだかわかる感じがしました。

***

検察側冒頭陳述

角田久芳さんは10代の頃美代子と知り合った。彼にはユリエという姉があり、彼女は美代子らと同居させられ暴力を受けていた(注・事件の相関図には載っていない人物。美代子の被害者はそれ以外にもいる)。昭和57年、ユリエは美代子の暴力に耐えかねて逃げるが、このとき久芳さんと弟(次郎)とともに逃げた。ところが美代子に見つかり3人とも連れ戻され、同居させられることになった。のちにユリエと弟の二郎はそれぞれ逃亡し、久芳のみ、ファミリーに残された。

生活実態について。平成17年(2005年)ごろ、仕事をしていたのは美代子ファミリーのなかで久芳さんだけだった(工員)。給料はすべて美代子に巻き上げられていて、生命保険に加入させられていた。尼崎のマンションを購入した時も、ローンの名義人は久芳さんで、その総額は3000万円だった。2001年に美代子の指示で三枝子と入籍していたが、夫婦の実態はない。

性格はおとなしく、真面目、人に逆らわない。友人との交流もなかった。

次に出来事の流れについて。

・詐欺の計画

 2004年ごろまでに、角田家は困窮しており、5000万円の借金があった。同年夏、金が回らなくなったために三枝子が「保険金を得るために自殺する」と言い出したが、これを美代子が止めた。その代わりに久芳さんに対し「交通事故を装って死ぬように」と言い、具体的に自転車に乗って走行中の車に飛び込むよう指示した。久芳さんは断れず「わかった」と返答した。

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