海田町・男性暴行死公判 被告人は複数回体調不良を訴え… | 高橋ユキの事件簿 #348
こんにちは〜
一週間おつかれさまでした。暑いですね…
今週は事件振り返りながらの日記です。
そして夏休みをとりたく、8月18日は配信をお休みいたします。申し訳ありません。
今週の事件簿
2024/07/29月
広島・海田町の遺体なき殺人事件。債権回収屋の男の公判を傍聴に広島地裁へ。
昔、ニュースレターにもまとめています。
被害者の竹内さんは詐欺のようなことをやっていて、金を騙し取られたという女性たちが、債権回収屋に依頼し、事件が起きたという流れ。今回傍聴する今泉は最後に逮捕されたのかな。
傍聴仲間からは、ひとつ前の審理の日に体調不良を訴え始めて公判が流れてしまったと聞いていたので、この日もあるのかどうか不安になりながら行ったら無事に被告人はやってきた。目元にもタトゥーのあるやんちゃな若者。信じられないくらい顔がいい。体調が悪そうには見えなかった。
この日は解剖医に対する尋問。遺体なき殺人なのになぜ解剖医。という疑問がわいたが、防犯カメラやドラレコなどから、被害者に加えられた暴行の様子や、事務所を出るときの状態などをある程度推測できるという話だった。まじか。こんなの見たことない。
それで音声などから、事務所で被害者に対して激しい暴力が加えられ、風呂場で苦しんでいたがそのうち死亡したと医師は言っていた。外傷性ショックの可能性まで示唆していたがほんまかいな。
そんな主尋問が終わり、休廷を挟んで弁護側からの反対尋問……の予定がまた!体調不良で午前中は一旦休みになってしまった。なんかこれは午後もなさそうな気がしてきたが、とりあえずコンビニおにぎりで昼食。広島地裁は異様に暑くて熱中症患者が出そうな気がする。
案の定午後も体調不良のためこの日は流れてしまった。でも後悔はない。行かないでモヤモヤするよりもずっといい。被告人の体調不良はどこまで本当なのか。事件後に逃亡していたし、色々言えないことも多そうで、引き伸ばしたいのかなと思ったりした。
債権回収屋に依頼した女は別の日の尋問で、被害者は強盗殺人を起こした前科があると話していたそうだが、新聞検索してもそんな前科にあたる記事はヒットしなかった。うそ情報を債権回収屋に吹き込まれていたのかなんなのか。気になってくる。
2024/07/30火
広島往復に疲れて、東京地裁立川支部で開かれる渋谷博仁の公判を休む。
傍聴仲間から聞いたところによると完全黙秘だったという。だが宇宙人についての質問にだけは答えたらしい。
静岡で起きた3人殺害事件がちょっと気になってしまう。
2024/07/31水
最近東京は気温が35度を超える日が続いており、そんななか外出するのが怖すぎて、なるべく家にいるようにしている。この日も朝から裁判所に行く気が起きず、ぐだぐだとしていたが意を決して午後から久しぶりの東京地裁へ。
加納直樹という医師が友人と2人でナンパした女子高校生に対して性暴力を加えたとして逮捕起訴されている事件。
報道は残ってなくて謎めいた医師界隈のデータベース?的なまとめブログを。
被害者とされる高校生は2人いて、今日はこのうちAさんと言われる女の子と、そのお母さんの尋問。被告人は否認している。そして弁護人は赤木さんという、私が弁護を頼むなら誰に頼みたいかランキングトップ3に入る方。久しぶりに赤木弁護士の弁護テクニックを見たいという気持ちが大きい。
昔傍聴した殺人事件では、実刑の可能性が高いにも関わらず執行猶予を勝ち取りものすごく驚いた記憶がある。
この裁判でも、被告人は女子高校生たちが怖がっているとか、嫌がっているとかいう認識を持っていなかったという主張をしていて、質問もてきぱき。検察側の質問に対してもしっかり異議を出して、さすがのスキルを見せつけていた。
近年、性犯罪事案において、被害者とされる方への尋問で弁護人が被害者を泣かせたりするようなことがけっこうある。それを裁判所は厳しい目で見ているように感じる。この裁判でも、ちょっと赤木さん、レイプ神話っぽくなってるんじゃないか……という質問がちらほらあって、そこは心配になった。被害者の行動が被告人を勘違いさせたかのようなニュアンスの質問だったり、また被害者がさほど嫌がっていなかったのではないかという趣旨の質問をけっこう繰り返していたので、Aさんは辛かったと思う。
2024/08/01木
静岡の3人殺害の男が鳥取のラブホで確保された報道。
月曜に傍聴した海田町の事件は、被告人に無期懲役が求刑されたとの報道。びっくり。
被告人質問でどんな問答があったのか全く報道がない! 見たかった!!!
しかし無期懲役が重すぎてビビる。被害者の男性は実際に詐欺をやっていたと思うのだが……。そういう事情は殺人においてはあまり考慮されない裁判が多い。
無期懲役といえば、福岡・水巻町の女性殺害事件で逮捕された被害者の妹に対して無期懲役の判決が言い渡された。これもびっくり。
この構図、どう見ても、妹の知人である岡村恵美被告が首謀者なのでは?
と思うのだが、妹が強盗殺人で起訴されているのに対し、岡村被告は強盗致死だというから、まずそこから不公平感がある。岡村被告も強盗殺人で起訴しなかったのはなぜなのか。
判決前にこんな記事が出ていて、情報が整理されていたが
妹の方は、岡村との関係を「債権者と債務者」とドライに表現しており、かたや岡村は「大親友」と言っていた。別の記事には妹の知能に疑問を抱くような記述もあったりして、妹が岡村親子にあやつられていたような印象も少し抱くが、この辺りの関係について裁判所はどう見たのか気になる。
〈判決は、金に困っていた岡村被告側のために、和美被告が辻さんに金を借りようとしたと指摘。一方で、和美被告は岡村被告に脅されていたわけではなく、自らの意思で付き合っていたとして「犯行を主体的に決断しており、岡村被告との関係を量刑上、被告人に有利に考慮すべき理由は見いだせない」と弁護側の主張を退けた〉
対等な関係だったように判断したのだろうか? 何千万も借金を背負わされている相手と……? 謎だらけである。
2024/08/02金
午後から大宅文庫に。5月に行ってからハマってしまい、定期的に情報収集に行くようにしている。新聞でもあらかた把握できるが、昔の週刊誌は生々しい情報が多くて大変助かる。ついに大宅文庫の会員にもなって、資料が読み放題になった。
秋田・角館の農薬による女子高校生殺害事件の続報を探しに行ったが見つからない。後日逮捕されたというおじさんの情報が知りたい。
そういえば週末にNetflixで「地面師たち」を一気見した。
私はこういう怖いコンテンツが好きだと思われているようだが実はトムクルーズが出ているような愉快なアメリカ映画が好きなのである。「地面師たち」は面白怖かったが、残虐描写が本当に苦手。ドキュメンタリー以外での残虐描写は目をつぶってやりすごすのであった。
仕事のお知らせ
記事
前にお知らせを忘れていた前後編記事がありました。デイリー新潮の大宅文庫記事。ここから大宅文庫に通っています。
イベント
9/7土曜昼開催 非週刊女性ポパイ13号
いつもの阿佐ヶ谷ロフトではなく新宿のロフトプラスワンにて
非週刊 #女性ポパイ 第13号
殺人事件、裁判事情、ベタ記事事件までを掘り返して好評と戦慄を呼ぶ名物イベント。
2割マジメに、8割週刊誌的なゲスさで語ります。
出演/高橋ユキ+能町みね子
※ロフトプラスワンでの開催!
チケット明日8/4(日)20:00〜
loft-prj.co.jp/schedule/pluso…
取り上げてほしいテーマ、あの裁判について知りたい、みたいなリクエストがありましたら、いつでもご連絡ください。このメールに返信すると私に届きます。スレッドでもいつでも書き込んでもらえれば!今週も元気にお過ごしくださいませ。
文責:高橋ユキ
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・ここだけの傍聴記録、受刑者の手記
・紙媒体に過去掲載された取材記事
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